きっちり時間が決められているので、アンコールなどというものはない。

楽器を即座に撤収し、ステージを空にしなければ。

……しかし、そんなことをしている余裕はない。

あのバカがまたどこに行くとも知れない。

「……太陽くん!」

「なんだ!」

「光輝を捕まえてきてもいい!?」

「いいぞ! 行ってこい!」

「ありがとう!」

ステージから飛び降り、興奮冷めやらぬ観客の中を紅羽は走り出す。

結構後ろの方にいたはずだ。

上から見えた位置に辿りつき、紅羽は辺りを見回す。