しかし、直後に鳴り出したスマホの音に身を弾き起こす。

一瞬で頭が冴えた。即座にスマホをタップする。

「はい」

『あ、紅羽ー? 俺お』

「ライブに来い」

『れ……。え……なんつった?』

光輝の挨拶をぶった切って、単刀直入にそれだけ言う。

やはり頭は回っていないのかもしれない。説明もなしに言ったって、さすがにわかるもんか。

「えー……と。九月末の文化祭でライブやる。聴きに来て」

『え、ライブやんの? できんの?』

「やる。できる。来い」

『俺、今だいぶ遠いところにいんだけど』

「どうにかして来い。バスでも電車でも飛行機でもジャックして」

『もしかして、紅羽眠い?』

「眠い」