担任の励ましが効いたのか、紅羽はのらりくらりと太陽を交わし続けることができていた。

本日の授業は、あと一つを残すのみである。

……もしこれで太陽が、紅羽になんの気もなかったら、とんだ痛い女だ。

まあいい。そのときは紅羽が一人で恥じ入るだけだ。

よしっ、と気合いを新たに教室を出る。

次の授業は移動教室だ。

友だちに声をかけようとして──強い力で左腕を引かれた。

びっくりしてそちらを見ると、不満げな顔の太陽がいる。

実力行使に出るとは予想していなかった……!

紅羽はただ目を丸くしている。