「……くれはさん」

顔をあげた向日葵は笑みを作っていた。

けれど目元は泣きそうだった。

どうしてなんだ、両思いになったわけでもないのに、そんな顔をしないでくれ。

とは言えない。ただまっすぐに、彼女を見つめるだけだ。

「私、くれはさんのそういうところ、好きです。探してくれて、ありがとうございます」

そう言い切った彼女は凛々しく、愛らしかった。

思わず抱きしめそうになる。

「……うん。私も、向日葵ちゃんのこと好きだよ」

胸にジョウロを抱きかかえてはにかむ向日葵は、この上なく可愛らしかった。

次に藤に会ったら自慢してやろう。

傍らで、太陽に向かって首を伸ばし続ける黄色い花が揺れていた。