部活を終え、駅に向かっているときに着信に気づいた。

紅羽ははっとする。

七月に入って間もない、月の変わり目に連絡してくる人物の心当たりは一人だけ。

急いで取り出すと、案の定、公衆電話の文字が表示されている。

「ごめん、ちょっと」

一緒に歩いていた太陽たちにそれだけ早口で言って、紅羽は横道に逸れる。

雑に抜けてきてしまったが、まあ彩人が上手く言ってくれるだろう。

焦る心臓をなだめながら、紅羽は通話ボタンを押した。

「はい」

『あ、紅羽ー? 俺俺ー』