「え……な、なに?」

「え? ……いや、嬉しいものだなと思って」

どうもぼんやりしていたらしい。

目をしばたたいて、焦ったように首を振っている。

「ええと……、うん、わかったよ。太陽くんの心に沿うようにやってみよう」

「うん。よろしく」

気を取り直してそう言うと、彼は柔らかく笑った。

紅羽は頬に血が上ったように感じて、また和音を鳴らすのだった。