ただ──。

紅羽は唇を噛んだ。

太陽の側からは、さっぱりと否定できてしまうだろう。

そう思うと、どうにも苦しい。

くそ。

八つ当たりの矛先は藤に向いた。

余計なことを言いやがって。

錯覚してしまうではないか。

好きなどではない、断じて。

そう自分に言い聞かせるほど、太陽のことを意識してしまうのだった。