そう、自分が消えたバンドを任せていけるくらいの、任されるくらいの信頼を持つ関係。

「……友だちじゃなければ……」

ためらいがちに彩人は口にした。

「恋人?」

「…………」

焔からの返事はない。

もともとこういうことに疎い男である。

いつか紅羽に訊いてみよう、と思っていると、ドアの外から、言い合う馴染みの声が聞こえてきた。