目当ての教室に辿り着く前に、太陽を視界に捉えた。

彼は部室のほうに歩いてきていた。

紅羽は少し小走りになる。

俯き気味で、どこか肩を落として歩いていた太陽は、靴音で顔を上げた。

紅羽と目が合うと、……どこか不貞腐れた顔になる。

うう。と思いながら、紅羽は太陽を窺った。

「……えーと。太陽くん?」

「なに」

声がつんつんしている。

「……いじけてないで。私、別に太陽くんがどうでもいいわけじゃないよ」

太陽が頬を膨らませたので、あ、失言だったと紅羽は反省する。