「いやほら……太陽は、紅羽ちゃんに追いかけてきてほしいんだと思うんだけど……」

紅羽から視線を逃がしながら彩人はしどろもどろに言う。

「なんで?」

もう一度睨むと、彼は諦めたようにため息をついた。

「えーと、AさんとBさんがいて……」

「いや、なんの話だ」

「例え話だよ、聞いて」

彩人は両手の人差し指を立てている。

「AさんとBさんは付き合っています」

「……はあ」

「Aさんが、昔の恋人のCさんに会いにいくと言いました」

「ふむ」

「Bさんは、いってらっしゃいと普通に送り出しました」

「ほう」

「嫉妬もせず、やきもちも妬かずだよ」

「へー。ちょっと可哀想かも、Aさんが」

「そうそう。そういうこと」