戻った部室では、太陽が床にあぐらをかいてノートになにか書いていた。

「紅羽……スマホ……俺のスマホ取って……」

「自分で取りなよ」

「今動いたら考えたこと全部忘れそう……」

「老人か」

呆れた顔で言いながらも、紅羽は太陽の鞄に手を伸ばす。

そのとき、戻ってきていた二人に気づき、「おかえり」と言った。

「……ただいまー!」

ちょっと考えて、彩人はことさらに、努めて明るく返す。

「……ああ……」

隣の気配が一瞬で落ち込んだのを感じたからだった。