「今ではこの話し方とか一人称も
慣れすぎて素になりつつあるけど」


「……余裕ない時とか、切羽詰まった時とか
無意識にああいう素の自分が出てくる」


「……つむぎちゃんに嫌われないように
普段は気をつけてるんだけど
そういう時だけはどうしても素が隠せなくて」



こーくんは片手で赤くなってる顔を隠しながら
ためらうように言葉を重ねていく。



…。


……こーくん
私のために頑張ってくれてたってこと?



女の子が好きな人に好かれるために
お化粧や服装、身だしなみに気を遣うように


こーくんは私のために


好かれるために
口調や態度を変えていたってことだ。



……そんなの全然、気付かなかった。



「…」



……どうしよう。



真っ赤になってる
こーくんには申し訳無いけど…


……嬉しい。



そこまで自分が想われていた事が。



嬉しすぎて、勝手に表情が緩んでしまう。



「……あー…恥ずかしい…
隠し通すつもりだったのに」


「つむぎちゃんが熱で倒れたときとか
後輩の男に言い寄られた時とか
理性飛びそうになるし、苛立って態度に出るし」


「ほんと、恥ずかしい…」



机に突っ伏して悶絶するこーくん。



…そんな姿さえ、愛しく思う。