「っ……ふっ、ん……」

「…」

「……んん……っ……」

「…」



逃げようとしても
こーくんはしっかりと私の体をつかんで離さない。


段々と深くなっていく口付けに
息が苦しくなって、涙がにじむ。


薄く開いた目にうつるのは
いつか見た、あの熱っぽい表情。



「…っ」



射抜かれたみたいに


心臓が


体が


びりびりする。



「……っは」



ようやく唇が離れて

酸欠でふらふらの私は
そのまま、こーくんの胸に倒れこむ。



「…ごめん、嬉しすぎてつい
やりすぎちゃった」

「…………こーくんの、いじわる……」

「ごめんね」

「…………あんなに、苦しいの……やだ」

「もっと苦しくて、気持ちいいのする?」

「……いらない」



軽口をたたくこーくんを
その腕の中から、涙目のまま睨み付ける。



「……そんな顔されても、可愛いだけなんだけど」



こーくんは少し顔を赤くして、真顔で呟く。



「……っ、こーくんは、ずるい…」



こっちは、突然キスされて


当然、そんな経験ない私は
呼吸の仕方も分からなくて


ろくに息もできなくて


心臓ばくばくで


苦しくて、恥ずかしくて仕方ないのに。