「どうしたの?急に」

「…なんとなくです」



早川君はそっけなく答えて
すぐにまた本棚の整理を始める。



……早川君は、いつもクールだなぁ。



年下とは思えないくらい
いつも落ちついていて、しっかりしてて


でも、意外に優しい。


この間なんかも私がひとりで雑用こなしてたら
手伝ってくれたし


困ってる人がいたら
見過ごせないタイプなのかも。



「…」



思わずじっと見つめてると
それに気づいた早川君とばちっと目が合う。



「…っ」



早川君はなぜか顔を赤くして
それを見せまいとするように顔を背けた。



「?」



……恥ずかしがりやなのかな?



図書委員として
それなりに付き合いも長くなるけど
いまだに早川君の性格はよく分からない。





「早めに終わって良かったね~」

「そうですね」

「じゃあまたね。早川君」



校門前。


別方向の早川君に別れの挨拶をして歩き出す。


けど



「待ってください」



ぐっと手首を掴まれ、引き留められた。



「…?どうしたの?」



振り返って早川君を見返す。


早川君はどこかそわそわと落ち着かない様子で


……いつもあんなにクールなのに珍しい。



「…あの」

「うん」

「今日……この後、暇ですか」

「今日?用事はないよ」

「なら、どこか寄り道して帰りませんか」

「え?」