物語の中のお姫さまは皆、綺麗で可愛い。


顔も髪もお洋服も性格も
全部、綺麗できらきらしてる。


王子さまが好きになっちゃうのもわかるくらいに。




「私はお姫さまにはなれないよ」

「そんなことないよ
僕にとってはお姫さまだよ」

「そんなこと言うのこーくんだけだよ」

「つむぎちゃんの良さや
可愛さは僕だけ分かってればいいの」

「こーくんは私に甘いなぁ…」

「それはそうだよ
だって…」









「こーくん?」



はた、と止まったこーくんの言葉。



振り返ると一瞬
もどかしそうな表情のこーくんと目が合う。


けど


こーくんはすぐににこっと表情を変える。



「つむぎちゃん、僕もお風呂かりていい?」

「うん」

「じゃあ、ちょっと行ってくるね
つむぎちゃんはちゃんと横になってるんだよ」



釘を刺すように
言い残してこーくんは部屋を出ていった。