幼馴染との正しい距離感


……


……なんだろ。ひんやりする。



全身熱いのに、額だけ冷たさを感じる。



「…」

「つむぎちゃん」



まだ重い瞼をあげると
そこには、こーくんがいた。



「……こーくん」

「熱、まだ高いね」



ひんやりの正体はこーくんの手だった。

触れていた手が、そっと離れていく。



「……こーくん、学校は?」

「もうとっくに終わったよ
今は夕方、17時前」



スマホを確認したのはお昼前だったのに
もう夕方。


私、随分長い時間、眠ってたんだ…。



「ずぶ濡れで帰ったんだって?
おばさん嘆いてたよ」

「…転んだの」

「僕も一緒に帰れば良かったね
ごめん」



申し訳なさそうに表情と声を落とすこーくんに
ぼんやりしたまま、私は小さく首を横に振る。