幼馴染との正しい距離感

「…」



……雨の音、うるさい。



地面に叩きつけるように降り注ぐ雨。


傘が雨を弾き返す音が
耳に響いて、さらに頭が痛くなる。



……せめてもう少し
優しい雨だったら良かったのに…



台風でもくるんじゃないかってくらい
雨足も速いし、風も横殴りっぽくなってる。



明日も、こんな天気だったら嫌だなぁ…



なんて


荒れた空模様に気を取られていたら



「っ!」



足元の段差に気付くことができなくて
そのまま派手に転倒してしまう。



「……い、ったたた……」



体のあちこちに痛みが走る。


転んだ拍子に傘も飛んで
一気に濡れ鼠状態。



「……もう……」



頭は痛いし、派手に転ぶし、全身びしょ濡れになるし…


今日はなにからなにまで最悪の日だ。



「…」



踏んだり蹴ったりな状況に
癇癪(かんしゃく)を起こしそうになりながらも


少し離れた所まで飛んだ傘と鞄を回収して

ところどころ痛む体を無理矢理、動かして


なんとか家まで帰った。