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「ごめんヒデさん。
もう俺やるせなくて・・・。」


『いえ、“黒部氏に話を聞きに行け”と命じた私の判断ミスです。

こちらこそ、辛い聞き込みをさせてすみませんでした。』



老人ホームを出た後、
横浜駅まで戻ってきた。


当時の捜査資料に乗っていた“公衆電話”の場所を探す。



東条警部が成功した逆探知。

犯人が最初の電話を掛けてきたそこまで辿り着くと、20年という歳月を実感した。


ここにはもう・・公衆電話は跡形も無くコンビニが建っている。


『1人一台スマートフォンを持ち、

公衆電話の存在意義は無くなりましたから当然でしょうね。』


「リカさんはどうして助けを呼ばなかったんだ・・。

当時の雰囲気はもう分からないけど、

周りに人がいれば助けを求めても良さそうなのに。」


『例えばナイフで脅されていたとか、

求めようにも求められない状況だったかもしれません。』