―――――― 


老人ホームのスタッフに手帳を見せた後、
中を案内してもらった。


緑に包まれる立派な中庭。


そのベンチで・・木漏れ日に打たれ・・

その人は一人、澄んだ秋空を見上げていた。



「こんにちは。」


「・・?・・はい・・こんにちは。」


「隣いいですか?」


「はい、どうぞ。
良い天気なので空を見ていました。」


「・・・・・・・。」


「秋はお好きですか?」


「ええ。旬な食べ物がたくさんあるので。

この前、職場の上司と七輪でサンマを焼いて食べました。」


「そうですか。私も秋は好きなんですよ。」


「・・・・・・・・何か・・思い出が?」


「はい。この前、職場の上司と七輪でサンマを焼いて食べました。」


「・・・・・・・そうですか・・。」