『黒部氏ですが、

最近は夕食を食べた直後、
また食堂に向かい、

“夕飯はまだですか?”とスタッフさんに尋ねる事がよくあるそうです。

認知症の症状は日を重なるごとに酷くなっているようですね・・。』


「なんか複雑だな。

リカさんの事件のことも、
奥さんの病気のことも、

辛くて哀しい想いもひっくるめて忘れてるなら、

ある意味認知症になって良かったという見方も出来る。」



『いえ、私は信じています。』


「・・・?」


『黒部さんが全て忘れてしまったとは考えていません。

娘を想う“父の愛情”に懸けてみましょう。』