「・・・聞き込みを続ける中で、“横浜で西平を見た”という証言が幾つもあった。

横浜駅で路上ライブをしていた所を目撃したって。」


「・・フッ・・フッ・・そりゃそうだ。

元々の俺の活動拠点は横浜だったからなぁ。

あの女は決まった曜日、
決まった時間に俺の前を通ってた。

女1人で出歩くには物騒なのになぁ。

おかげで簡単に拉致できた。」


「お前の性格からして、
拉致したならすぐに拷問して殺したはずだ。

どうして黒部さんに身代金を要求した?」


「俺のロックンロールで世界を変えるには金が要る。

俺のロックンロールは希望だ。」


「・・・・・・金が必要だったんならどうして交渉を中止した?

中止したならどうしてリカさんを殺さずに監禁し続けた?

お前の証言と行動には矛盾が多すぎる。

それはつまり、黒部リカを誘拐したのも監禁しているのも“嘘”だからだ。」


「だったら今すぐ俺に死刑判決を言い渡せよ?

あの女も可哀想になぁ。

せっかく俺が最後のチャンスを警察に提示してやったのに見捨てられて。」


「・・・・・・・・・・・。」