「・・失礼ですがどちら様ですか?」


「申し遅れました。

私、神奈川県警 刑事部 本部長の新谷と申します。」


「・・・・・・・・・は!?」


か・・神奈川県警の・・
しかも刑事本部長だと!!?


「突然申し訳ございません。
お時間よろしいですか?」


「ど・・どうぞ。どうぞどうぞ。
お入りください。」



こんな事なら昨日ヒデさんにクリーニングを頼んでおけば良かった・・。


こっちの小部屋には俺の椅子以外、
安物のパイプ椅子しか無いので、

平松刑事部長に匹敵するビッグネームの持ち主には俺の椅子に座ってもらった。



「もしかして君が“安楽椅子刑事”ですか?」


「安楽椅子・・?
ああっと、それは俺の上司の事です。

今はちょっと所用で不在にしてて・・。」


「あ、それは失礼しました。」


「神野と申します。
ここの場所は平松刑事部長に・・?」


「はい。平松とは警察学校時代の同期でして、

1度だけ捜査6課の話を聞いた事があったので・・

ダメ元で昨夜彼に連絡を取ってここを教えてもらいました。」


「・・・黒部リカさん誘拐事件についてですか?」


「・・・・・・・・・・・・。」