あのコメンテーターの言った通り、
もし再捜査なんて事に・・・


『神野くん。』


「・・はい。」


さっきから俺と同じ様にテレビ画面をずっと見ながら、

青汁を飲んでいたヒデさんがコップを机に置いた。


『不快な思いをさせてしまうかもしれませんが、質問いいですか?』


「なんですか?」


『もし西平の自供通り、彼が黒部リカさんを誘拐した犯人だったとしたら、

君たち“堺班”は、西平の【余罪を見落としていた】という事になります。』


「・・・・・・・・・。」


『堺班長や君が、そんなミスを犯すはずは無いと思っていますが・・いかがですか?』


「・・・・・・・・・。」


・・ヒデさん本人はそんなつもり無いかもしれないが、

俺を見る視線が痛く突き刺さってしまう。


「3年前、西平を逮捕したあの時・・

正直・・俺の頭の中には“余罪”なんて全く無かった。

俺達は目の前の4件の連続殺人の事ばっかりアイツに追及してました。」


『神野くんにとっては、機動捜査隊から1課に配属されて初めての捜査だったので、

そこまで考えろというのは酷かもしれませんが・・迂闊でしたね。』