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「それでは開廷します。
ご起立ください。」
裁判長の号令で一礼した後、被告席に座る・・久し振りにその姿を見た。
見た目は逮捕したあの時からさほど変わっていないようだ。
ロックンロールだなんだと吠えるが、
西平には“影”のようなものが付きまとっている。
そんな雰囲気をずっと感じていた。
隣に座る堺さんも同じ様に思っているのか、
視線は俺と同じ方向を向いている。
ここ最高裁でも、
その審理はほとんど終わっていた。
最後に弁護側、
検察側それぞれが最終弁論を済ます。
弁護人の様子を見る限り・・
半ば“諦めた感”がこちらにも伝わった。
もはや誰がどう見ても死刑は免れない。



