「黒部さん。質問よろしいでしょうか?」


「・・・・・・・・・・。」


部下達が忙しく動き回る中、変わらず両手をギュッと握る黒部さんの隣に腰掛けた。


娘の命が掛かっているその心中は察するが、

この張り詰めた状態を続けていれば犯人との交渉前にぶっ倒れかねない。


なんとか気晴らしにしてくれるといいが・・。



「奥様へ連絡は・・?」


「・・それは絶対に出来ません・・。
妻がこの事を知ったら・・・・。」


「私もその方が良いと思います。

心身に負担をかけてしまってはお身体に差し障ります。」


「はい・・・。」


「心臓の病気と伺いましたがずっと入院を・・?」


「はい・・。

リカの大学卒業を控えていた昨年・・病気が見つかりました。」


「そうでしたか・・。」