――――――
「交渉失敗だと!?
どういう事だ東条!!!?」
「人質の安否は!?」
「その後、犯人からの接触は?」
「検問は続けていますが・・
まだ何も・・・・。」
この状況に整理がついていないまま、
県警へと呼び戻された。
刑事本部長他、
上層部の人達からの厳しい詰問が飛ぶ中、
私は何も言葉を返すことが出来なかった。
「しかしだ東条・・・。
結果的に金は奪われなかったんだな?」
「・・・・・・はい・・・。」
「では最低限の面目は保たれたという事だ。」
「・・・・・・は・・?」
「“金を盗られた上に人質を救出できなかった”場合よりは、
まだ我が神奈川県警の威信は保たれる。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「お前の報告を聞く限り、
こっちの捜査には何の落ち度も無かった。
その、赤い上着がどうのこうのも、
犯人が後付けでこじつけたって事だろ?」
「今のところ・・・・
それ以外考えられません・・。」



