4件立て続けに発生した連続殺人に、俺は捜査の基本を忘れてしまっていたようだ。


確かに1~4件の被害者同士の繋がりは無い。


聞き込みからも被害者を恨むような人物は浮上しなかった。


だが、別に“恨むような”なんて注釈が無くてもいい。


自宅だろうが廃墟・空き地だろうが、
被害者は犯人と2人きりで会った。


ある程度の仲があった・・・“犯人と被害者は顔見知り”と考えるのが自然だ。


捜査の基本を・・新米刑事が思い出させてくれた。


「堺班長、ビンゴです!

名前は【西平ヤスシ】46歳。

1人目、2人目、3人目に続き、

楽器店主人とも、
居酒屋での目撃証言が出ました!」



堺班総動員。

久し振りの徹夜&徹夜・・・&徹夜の聞き込みの成果で1人の男が浮上した。


それぞれの被害者と繋がった、
西平ヤスシという男。


直接的な証拠は挙げられなかったが、

各現場付近の防犯カメラにもれなくこいつは映っている。


時代の流れと共に、

公衆電話の数より遥かに上回った防犯カメラのおかげで状況証拠は揃った。