第12章  2019年




警視庁刑事部 捜査6課 神野シン
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“バタン!!”


勢いよく扉を開けて、久し振りにこの場所へ・・捜査1課へと帰ってきた。



「え・・神野か?」
「・・・神野・・。」
「まだ辞めてなかったんだな・・。」


俺の姿を見た元 同僚達のヒソヒソ話が節々に聞こえる。


だけどそんなものにいちいち反応している暇は無い。


・・・堺班は全員出払ってるか・・。


出来れば一言断っておきたかったけど、仕方なくそのまま“資料保管室”へと向か・・



「お~お~誰かと思ったら広報部 地域PR課の神野さんじゃないか。」


「・・・・・・・・・・。」



左遷された春以来、久し振りにその姿を見た狸・・じゃなくて、多村1課長が現れる。


“すみません久し振りの登場なのでもう覚えてません”と、

とぼけたくなる気持ちを抑えて軽く会釈する。