「配属早々悪いが、今ちょっと厄介なヤマの真っ最中でな。」


「・・・連続拷問殺人。1~3件目までは全部頭に叩き込みました。」


「おぉ~さすがだな。」


「・・4件目が起きたんですね?」


「この目で見ないと確信はできないが、

死体の状況から見てまず間違いないだろうな。」



昨日までに発生した3件の殺人事件。


被害者は40代~50代の男性。
今のところ被害者同士の繋がりは無い。


しかしこの3件を“連続殺人”、
“犯人は同一犯”と結論したのは、

2つの共通点が見つかったからだった。


1つは死体の状況。


自宅、空き家、廃墟。

場所は違えど被害者全員、
体は椅子に縛り付けられ、

両手は結束バンドで手錠され・・


“惨い”、“狂気的”と誰もが表現するであろう状態。

無数の煙草を押し付けた痕、切り傷多数、
首筋にスタンガンの痕まで・・


痛みに叫ぶ被害者の悲鳴が聞こえてきそうな凄惨な姿だった。



2つ目の共通点は・・・


「ダイヤのクイーン。

トランプが死体の手に握らされてたのは犯人からの何らかのメッセージですかね。」


「もしくは、“象徴”みたいなもんかな。

たまにいるんだよ、“自分がやった”と誇らしげにこういう物を現場に残す奴は。」


「・・・・愉しんでるつもりか・・。」


「被害者同士の共通点が見つかってない事から、

無差別に犯行を繰り返していると見て間違いないだろう。

早いとこ捕まえないと、
5人目が出かねない。」