「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


“コン コン”


あの路地裏にあった小汚い店の主人が教えてくれた住所に着くと、

呼び鈴すら無い、
古びたアパートが待ち受けていた。


「・・・・・・・・・・。」


反応が無いのでもう1度ノックする。


不在か・・?

一応ドアノブに手を伸ば・・・


“ガチャリ”


「・・・・・・・・・・・・・・。」


無施錠の扉を開けた先、
四畳一間の小さな場所に・・・・・・



「・・・・西平ヤスシ君ですか?」


体育座りの状態でピクリとも動かず、
ずっと俯いていた男が一人。


私の呼びかけにゆっくり反応して顔を上げた。


・・・・“憔悴”なんて言葉では簡単に言い表せられない。


恐らく事件以来、
ほとんど何も口にしていないんだろう。


栄養失調を心配するほど頬はこけ、

手入れされていない無精ヒゲでより一層と影を増している。