Fall -誘拐-



―――――― 


「ごめんなさい・・驚かせて・・。」


「なんか嫌な事でもあったの?」


給料日はもう過ぎていたので、

今度は僕の奢りで缶コーヒーを差し出しながら・・・二人で地べたに座る。


ようやく落ち着きを取り戻した黒部さんだったけど、その目はまだ真っ赤だった。


「お母さんが・・ずっと体調が悪くて・・。」


「・・・・。」


「重い病気があるかもしれないって検査してもらったんです。

詳しいことは分からなかったんだけど、結局そのまま検査入院する事になって・・。

実は・・この前はその帰りだったんです・・。」


「そうだったんだ・・。」


「今日・・検査の結果が出て・・
それで・・・・・・。」



再び嗚咽を交えながら教えてくれた。


黒部さんのお母さんの心臓に見つかった病。


でっかい病院の、
態度もでっかい医者から言われた、

心ない“治療方法は無い”という言葉と共に突きつけられた“余命”。