“ガチャリ”という音と共に電話が切れた。

・・・13分。



「黒部さん、ひとまず犯人の指示通り、
車の準備をしておきましょう。

ガソリンは入っていますか?」


「それが・・ちょうど減ってまして・・。」


「ではすぐに。もし犯人から電話が掛かってきたら私が対応しますので。」


黒部さんが車の鍵と共に、
急いでリビングを出て行った。



「・・・新谷、どうだ?」


したり顔を見せた新谷が大きく頷いた。


今回の犯人、脅迫状の文面や先程の電話の振る舞いから見てもかなり自信家のようだ。


主導権は常に自分にあると慢心し、
私達警察を相手にしても物怖じしない。

だが・・・その慢心が私達に付けいる隙を与えてくれる。


「バカな奴ですね。

21世紀になろうとしているこのご時世に、一昔前の情報を鵜呑みにして。」


「出たか?」


「はい!横浜駅近くの公衆電話からでした。
場所も特定出来ています。」


「公衆電話・・?

大胆にも人質連れて公衆の面前から電話掛けてきたのか・・。

よし、すぐに何人か向かってくれ。

またそこから掛けてくる可能性もあるから慎重に張り込めよ。」