<では、禁止事項を1つ追加する。>


「・・なんだ?」


<ボストンバッグに発信器をつけるな。>


「!?」


<貴方達が考えることなどお見通しだ。

まずは人質優先で、
すんなりと金を渡した後、

我の居場所を特定しようという魂胆であろう?>


「・・・・・・・。」


<リカさんを解放するのは、
現金を数え終わった後だ。

もし妙な物が鞄の中に紛れ込んでいたら、
交渉は中止とさせてもらう。>


「・・分かった。せっかく部下達が準備してくれたが取り外しておく。」


<正直な人間は好きですよ東条警部。>


「リカさんをターゲットに選んだ理由はなんだ?」


<彼女は火曜日と木曜日。
もしくは月水金。

決まって同じ夜遅くに同じルートを通る。

待ち伏せして攫う相手としてはうってつけだった。>


「彼女は仕事が終わった後、

どんなに疲れていようが気丈に母親が入院している病院へ通っていた。

黒部さんやお母さんの為にも、
絶対にリカさんを傷つけるな。」


<・・・次の電話を待て。>