「あ~刑事さん。」


ヒデさんとの通信に夢中になって、

病院~黒部家跡を何度も往復していた事に気付いていなかった。


停車したタクシーの運転手さんがこちらを振り返ると、何やらニヤニヤ顔をしていた。


「白熱してるようだね。」


「すみません、ちょっと煮詰まってて。」


「いいねぇ~。

“事件は現場で起きてるんだ!”っていう台詞が出てこないかワクワクしちゃったよ。」


「・・なんですかそれ?」


「えー!!刑事あるあるじゃないの?」


「そんな事一度も言ったことないですよ。」


「なんだつまんねぇの。

まぁいいや。刑事さん、
腹が減っては戦はできないでしょ?」


「・・・・・そう言われてみれば、
朝から何も食べてないです。」


「ヘヘっ。俺達タクシードライバー御用達の、

美味くて安くてボリューム満点の穴場連れてってやるよ。」