再び徳永先生の元へ戻る。
「じゃあ先生、
一気に話を進めて率直に聞きます。
リカさんが誘拐された日の事で何か覚えている事はありますか?
彼女はこの病院を訪れた帰り道に犯人に拉致された。
つまり・・無事だったリカさんを確認できたのはここが最後という事になります。」
「当時の警察の方にも聞かれました。
確かにリカさんはアイさんの病室に来ていました。
私も軽く世間話をしたのを覚えてます。
ただその時も・・
いつもと同じ雰囲気だったと思います。
リカさんはアイさんとよく料理の話をしていたので・・
多分その時も、アイさんの料理講義に“ふむふむ”とメモを取っていた・・はずです。
・・・申し訳ございません、
記憶が少し曖昧ですが・・。」
「その頃、病院の周りに不審者がいたとか、そういった事は・・?」
「無かったと思いますけどねぇ・・・。
先日からワイドショーでずっと取り上げられている西平ヤスシも、
あの時黒部家の皆さんの周りにはいなかったはずです。」
「そうですか・・・・
・・ちょっとお待ち下さい。
・・ヒデさん、
何か聞いておきたい事は?」
『・・・・・東条警部。』
「・・は?」
『東条警部について何か覚えている事はあるか、お聞き頂いてもいいですか?』



