「ユールヒェンの部屋に行ってもいいですか?」

挨拶を済ませ、トルテを渡した後、音羽は笑顔で言う。

「え、ええ……。でもあの子、人に会いたがらないのよ」

お母さんはそう言うが、音羽はお礼を言って二階にあるユールヒェンの部屋に向かう。そして、ドアをノックした。

「ユールヒェン、私よ。音羽。あなたと話したくて……」

「うるさい!帰れ!」

音羽の言葉を遮り、部屋の中から怒鳴り声が響く。音羽は深呼吸をして言った。

「Mir war bewusst, dass sie nicht talentiert waren.(私はあなたに才能がないことに気付いていた)Aber ich hatte Angst, das zu sagenund nasste dich.(でも、それをあなたに言って嫌われるのが怖かった)Weil du mein Freund dist.(だってあなたは私の友達だから)」