東白学園は
三年生が青、二年が緑
一年が黄色の名札を付けている

その三年生がピカピカの一年生に
あんなこと言う??


普段は亜樹と一緒に居ても
現実は離れている時も多くある

今回のことも僅かな隙を突かれた感じで

私以外は気づいていない

[堂本]って名札つけてるから
その内気づいてくれる

なんて

そんな小さな綻びを
飲み込んでしまった所為で

この後、大変なことに巻き込まれようとは思ってもみなかった




・・・・・・
・・・




「堂本琴さんて居る?」


東白に模範生徒がいたの?ってくらい
二度見してしまうような生徒会役員の先輩が教室に来たのは

お昼ご飯を食堂に食べに行く途中、携帯を忘れたことに気づいて一人で走って戻った時だった


「・・・私です」


生徒会の島澤と名乗った彼女は
読み取れない表情で


「ちょっといい?」


付いて来いと言わんばかりに顎を外へ向けた


「・・・はい」


教室の後ろから出ると廊下の突き当たりにあるドアを開いた島澤さん

端教室のD組
その向こう側なんて非常階段しかなくて

一瞬足が止まった


「時間は取らせないわ」


躊躇う私を動かすように
サァと手を非常階段に向けた島澤さん

面倒なことは早く済ませて
食堂に行かなきゃ

そんな
危機感の薄い私は

島澤さんの容姿に判断を誤り
自ら敵の中に飛び込んでしまった