「今日からよろしくね」


フワリと香ったのは
いつもの優羽の柔軟剤の匂い

甘くていい匂い
なんだっけ?確かパッションフルーツの香りだったような

優羽に抱きついたまま
フフッと笑う私は
強い力で背後へ引っ張られた


「キャッ」


トンと背中に感じたのは
硬い筋肉と亜樹のグリーンの香り


「いつまでもくっついてんな」


少し不機嫌な声に
背後の亜樹を見上げると


「束縛男は嫌われるわよ」


目の前の天使が悪態をついた


「あ゛?」


「あら?図星過ぎて腹立った?」


・・・ヤバい

そう思うと同時に


「確か・・・内田優羽さん
初対面なのになかなかな挨拶ですよね」


柔らかな物腰の大和さんが間に立った


「挨拶?する訳ないじゃん
私は琴にしか挨拶してないわよ?」


物凄く喧嘩腰なんですけど
優羽どうしちゃったんだろう?

焦る私に視線を落とした優羽は


「こんな心の狭い奴やめたら?」


今日イチの爆弾を投下した

優羽ちゃーーーーん
もう波乱しか感じないんですけどーー


「琴、こいつ友達か?」


怒りの重低音が響いて
否定したら優羽がやられそうで


「うん、親友」


急いで返事すると


「面白いな」


亜樹は予想を裏切って大笑いした


「・・・へ?」


面白い?なにが?どこが?
一触即発としか思いませんでしたが?

てか・・・
とりあえず背後の亜樹も
目の前の天使も

笑ってるから良しとする?

既に一日分の疲れを感じた私は
正門前で女子の洗礼を受けたはずの気分を

スッカリ忘れてしまっていた