せいごんの運転する車で
東白学園へ到着すると

正門前にズラリと並ぶ厳つい面子達

その先頭中央に永遠と大和が見えた


・・・えっと

こんなところへ出て行く勇気
持ち合わせてないんですけど・・・

ビビって肩を竦めた私の腕を引いて
開かれたドアから降りた亜樹


「「「「キャー」」」」


「亜樹さんよ」
「素敵」
「カッコいい」
「こっち見て」


アイドル並みの黄色い声を
一身に浴びながらも
1ミリも反応せずに
サッと私の肩を抱いた亜樹


「なにあの子」
「ブスが」
「何様」


途端に低く悪意に満ちる声が
耳障りな程うるさく聞こえるのに

俺様狼は

「下向くんじゃねぇぞ」

私だけに聞こえるように低く唸ると
面子が並んだ列の間を悠々と歩き始めた


・・・ハァ


面倒なことに巻き込まれた気分満載

数少ない女子生徒を敵に回したくはないのに

入学式当日に既にターゲットにされたようで気分が落ちる

護ってくれると亜樹は言うけれど
出来ればその他大勢で3年間過ごしたいのだ

新入生の下駄箱に着くと
貼り出されたクラス表を見に行こうとしたのに


「1ーDだ」


亜樹の一言で

持って来た上履きに履き替えて教室へと移動した


「おはよ、琴」


「はよ」


私に気づいて駆け寄ってくれた優羽

側に行きたいのに
肩に回された手は離してくれそうもなくて


「亜樹、離して」


ちゃんと言葉にしてみる


「あ、あぁ」


フッと軽くなった肩と自由になった身体を
近付いた優羽が抱き寄せた