「ありがとうございましたっ」
畳の上で頭を下げると
急かすようにせいごんの手を引っ張った
「ちょ、ちょっと!」
「早く!せいごん!」
優羽との買い物のために
1分でも早くシャワーを浴びて
支度をしたい
その気分が屋敷の廊下を走る速度に乗っかる
「亜樹さんはご存知で?」
走りながら焦ったように話しかけるせいごんに
「言う訳ないじゃん」
軽く答えると
「ちょ、それは、マズイ!」
更に焦っているけど
この際そんなことどうでもいい
「じゃあね」
部屋の前に着くとせいごんの手を解放した
「あ、ちょ、琴ちゃん」
パッと閉めた襖の向こうで
焦った顔のせいごんを思い出して
クスッと笑うと
シャワールームへ走った
・・・・・・
・・・
・
完璧に支度を済ませて
ソーーッと襖を開けると廊下を覗いた
「・・・よしっ」
足音を立てないように
スリッパも履かないで滑るように走る
せいごんの部屋をノックすると
渋い顔をしたせいごんが現れた
「送って」
必殺ウルウル上目遣い作戦!を
向けること3秒
「了解」
早いっ!
心の中でガッツポーズを作りながら
せいごん先導で屋敷を脱出した
車に乗って駅前に着くと
時計台の下に待ってる天使が見えた
「また連絡するね〜」
何か色々口走っていたせいごんに
適当に相槌をうつと
優羽の元へと走った
「お待たせ」
前髪を直しながら近づくと
「5人」
不機嫌な声が天使の口から溢れた
「は?」
・・・なんでしょうか?