「兄妹にはなったけど
一緒になれねぇ訳じゃねぇ」


「亜樹?」


「ん?」


「ちゃんと向き合うから・・・
だから・・・キスはしないで」


「あ゛?」


「だって」


「あ゛?」


「キスは好きな人とするんだから」


勢いに任せて恥ずかしいけど
相手が本気の時は
こちらも本気で答えなきゃいけない


「俺は・・・」
「待って!!亜樹のことは聞いてないから!!」


そう、亜樹が私のことを好きなのは
いくら鈍感な私でも分かる


「あ゛?」


「キスもそれ以上もお断りします」


先に言っておかないと
一気に奪われかねない


「じゃあ」


「え?」


「琴が俺を好きになれば良いんだろ」


「えっと・・・
ま、そういうことになるかな」


「じゃあ、すぐだ!覚悟しとけよ」


得意げに笑った亜樹は


「唇にはしねぇ」


屁理屈を言いながら
私を羽交い締めにすると


唇以外の顔中にキスの雨を降らせた


「ちょ、や、あ、ダメって」


なんとか逃げようと動く私が
亜樹の腕の中から抜け出すことは出来なくて


「琴、好きだ」


震える身体を楽しむように
首元に顔を埋めた亜樹は

囁きながら
首筋に噛み付いた


「・・・っ!」


痛っ!と思ったと同時に
ヌルっと這う感触が走る


「キャーーーーッッ」


「煩せぇ」


弱い首筋を走る感覚と
背中を走るむず痒さに


「・・・んっ」


鼻から息が漏れた


・・・ヤバ


下唇を噛み締めて
我慢しようとする私に


「唇が切れるだろ」


赤い舌で唇を舐めた亜樹の顔が
妖艶に煌めいた