「さぁ、どれにする?」


絶対使ったことないよね?って
思えるほど一点の曇りもない
ガラスの食卓テーブルに広げられた


デリバリーメニュー


チラシだけど・・・
私の頭の中にあるデリバリーとは
少し、いや、だいぶ違う

普通デリバリーってピザじゃない?

目の前のチラシを見比べながら
唸る私を見てクスッと笑った透さんは


「一軒じゃなくて一品ずつ全部から頼んでも良いんだよ?」


魅惑の提案をした


「・・・素敵」


ポツリ溢れた小さな声も
聞き逃さなかったようで


「じゃあ先ずこれね」


一枚ずつ目の前に出す作戦に出たようだ


「じゃあ、これとこれ。理樹さんは?」


実はお昼ご飯食べ損ねたから
お腹空いてるんだもん

迷った挙句に
イタリアンメニューから
注文することにした


・・・・・・
・・・


デリバリーを待っている間に

透さんの提案で
理樹さんの家の中を案内された


「見られて困る所はない」


そう言った理樹さんは
リビングで待っていることになった


一つ一つのスペースが大きくて
“ワァ”と声を上げるたびに
透さんがクスッと笑う

書斎とゲストルームとクローゼットにしている部屋・・・

脱衣所もお風呂も
豪華過ぎて鳩豆になった

そして・・・
トイレは3つ

ん?何故??

不思議な造りのマンションを
全て見学した所で

チャイムが鳴った

サッと反応した透さんは
紙袋を両手に下げた男性を
引き連れて戻った


・・・誰?