side 大和


俺の親父は
白夜会 二ノ組 郡夜組 組長 郡 瑞歩
白夜会の情報参謀を務めている

小さな頃から一ノ組である
堂本組によく出入りしていた所為で

同い年の亜樹とは物心ついた頃には
大親友になっていた

そんな亜樹から


「親父が再婚する」
と聞いたのは中三のお正月明けだった


「マジか」


思春期真っ只中の俺たちは
特段親のことまで興味もない

それなのに


「これ見ろ」


スマホに指を滑らせて
見せてくれたのは


「スゲっ」


芸能人か?と見紛う美人姉妹


「どっちだ」


そう聞いた俺を鼻で笑った亜樹は


「親子だ」


「は?」


いやいやどう見ても姉妹だろ?
何度指で拡大してみても
とても親子には見えない


「もしかして・・・」

もしやと思った閃きは当たっているようで


「こっちが母親で親父の相手
こっちが娘で同い年。しかも誕生日も同じ」


得意げな亜樹の顔に
羨ましさが込み上げた


「親父さん、この人とどこで?」


興味津々の俺に


「この前胆石で入院したろ?担当ナースがこの人」


大きなキーワードを放った

元々口数の少ない亜樹が
ここまで話すのはレア

ってことは・・・

頭の中で色々を整理する

そういえば秋口に胆石を取る手術をした堂本組長

病院は白夜会の息がかかる橘病院

手術は腹に三箇所穴を開けてする
比較的ダメージの少ないものだった

たった四日間の入院なのに
我儘言い放題の組長を
一言で黙らせた凄いナースが居ると聞いた

その人だったか・・・

そして・・・

亜樹の緩んだ頬の意味するところは・・・


丁度理樹さんからの調査依頼もあることだし調べておくか


タブレットを操作しながら

愛おしそうにスマホを眺める亜樹を見て
少し人間らしくなったと嬉しくなった





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