「琴のために買い物するのが楽しくなった」


そう言う理樹さんの表情はすごく穏やかで

でも・・・
クローゼットを見回して


「まだ足りないな」


・・・なにが?


座ったまま見上げる私へ視線を戻して


「明日買いに行こう」


と笑って“これ”と白い道着を出した


「稽古のですか?」


「あぁ、とりあえず3着な」


洗い替えも入れて2着で良くない?
なんて言葉は飲み込んで

少し重い道着を
空いている棚に乗せた


「風呂入るか?」


「あ、はい」


「一緒に入ってもいいが・・・」


顎に手を当てて真剣に悩む様子に


「へ?あ、いや・・・
シャ、シャワーにするのでっ」


いきなりの混浴発言に驚き過ぎて
あの大浴場を楽しみたかったのに

部屋のシャワールームをつかうことになってしまった


・・・トホホ


「じゃあ、俺はこれから出掛ける
何かあったら電話しておいで」


「はい、いってらっしゃい」


部屋の入り口まで見送ると
透さんが廊下で待っていた


夜に出掛けるなんて
ご飯も食べた後だし・・・

デートかな?

妖艶なお姉様達を両側に侍らせて
高笑いする理樹さんを想像して
あり得そうで怖いと
ウッカリ笑ってしまった


「どうした」


・・・い、いかんっ
またやってしまった


脳内お喋りを反省しながら
なんでもないと全身で否定すると

ハハハと笑ったイケメン二人は

「じゃあな」と背中を向けた