「琴ちゃんお邪魔〜」


予告もなく開いた襖から
熊に肩を抱かれた母が入ってきた


「お前も居たか」


隣に座る理樹さんを見た熊


・・・いやいや


ここは[妹]の肩を抱く倅に
“過度なスキンシップはヤメろ”とか
カッコよく言い放つのが良くない?


という私の僅かな期待を
簡単に裏切る母と熊は


「仲良くしてくれて嬉しい」


「そうだな」



なんて瞳をキラキラさせる始末


少し肩を落としたところで


「明日からの稽古の話は聞いたか?」


早速本題に入った


「あ、はい」


「何もないのが一番だが・・・」


そう前置きした熊は
時折母の頭を撫でながら
理樹さんと同じ説明をした


母も頷いているから・・・
余程の覚悟を決めているのだろう


とりあえず我が身の安全の為に
頑張ろうと素直に思った


「じゃあ、おやすみ」


それだけ言うと部屋を出て行った二人


「そうだ」


「?」


思い出したように立ち上がった理樹さんは

それ以上なにも言わないまま部屋を出た


「ん?」


疑問に思ったものの
それよりお風呂に入りたくて

クローゼットに着替えを取りに入った


「あ」


足元に置いたままの段ボール

下着が入ってたから緊急避難させたんだった・・・

クローゼットの片側にある
引き出しの中へ入れようと開いてみる


「・・・っ!」


引き出しに手を掛けたまま固まる私の背後から


「少なかったら足すが・・・」


いつの間に戻ったのか
理樹さんの重低音が響いた


「ヒッ」


下着→恥ずかしい→隠す
閉める→ビビる