「琴ちゃん開けて良い箱ある?」


先に聞いてくれたのは
見られたくない箱があると
気を使ってくれたからだろう


「えっと・・・これ以外ね」


【服】と書かれた箱だけを持って
ウォークインクローゼットへ

少しだけど下着が入っている箱は
後で一人になってから開けよう

とりあえず床に置き去りにして
部屋に戻るとせいごんは段ボールを開いていた


テレビの置かれた
収納棚にアルバムや小物を収めていく

少し手を止めて
アルバムをめくってみると
「可愛い」を連発するせいごん

二人で作業すると段ボール4個分なんてあっという間に片付いた

立ち上がって部屋をグルリと見回す

ベッドの足元に増えていた猫脚のドレッサーは

女優ライトも付いていて化粧もしないのにテンションが上がる


「琴ちゃんは水色が好き?」


「うん、小さい頃から水色」


「ピンクでも似合いそうだけど」


「無理!胸焼けする」


「へぇ」


クスクス笑いながら
少しずつせいごんも私も慣れてきた


スマホのメッセージアプリで
友達登録を済ませると


一度部屋に戻るというせいごんに合わせて部屋を出た


「後でね」


「あぁ、後で」


小さく手を振って
理樹さんの部屋をノックした


「琴です」


「入れ」