「気に入ってくれたか?」


「はい、靴も目印テープも
すっごく嬉しいです」


理樹さんを見上げて笑顔を見せると
更に頭を撫でてくれた


・・・やっぱりこの手が好き


「ここでの暮らしに慣れる為だ
仲道、琴の言う通りにしてやれ」


理樹さんに言われると
逆らえないようで


「徐々にです、いや・・・徐々に慣れるから
お、琴ちゃんもよろしく」


何度か止まりながらも
頑張って話してくれた


「せいごん!よろしくねっ」


「?」


突然の“せいごん”呼ばわりに
鳩豆の顔になったけど

直ぐに破顔して


「アニメのキャラクターみたいで
自分の名前じゃない感じ」


満更でもないようで
“せいごん”なんて自分で言いながら
何度も笑っていた


「仲道、お嬢付きに抜擢されたんだ
命に代えても護り抜けよ」


“せいごん”呼びに笑っていた理樹さんも
急に若頭の顔付きに戻って
重低音を響かせた


「はい、命に代えても!」


拳を胸に当てて決意を語る
せいごんに

今、私が出来ること・・・


「よろしくお願いします」


丁寧に頭を下げた


「荷物を片付けたら少し話があるからな」


そう言って部屋に戻った理樹さん

それから直ぐ私の段ボール5個を持ったジャージーズが到着した


「お嬢さんどこへ置きますか?」


襖を開けて
ジャージーズを招き入れた


「とりあえずここね」


広い部屋の隅を指定すると
あっという間に搬入終了で

せいごんと二人で残された