卒業式までの僅かな日々を
母娘二人きりで過ごすことにした

もちろん熊は反対したけれど
ほんの二週間と母に説得させた

今とは真逆の男所帯

やっていけるだろうか?

二週間後には父と兄が二人も出来る

一人っ子のはずが
三兄妹の末っ子になる

私・・・大丈夫か?


物心ついた時には母だけだったし

居ない人に興味もない私は
父のことについて母に尋ねたことはなかった

無関心・・・ではなくて
ホントに興味の対象外だった

それなのに

小学二年の時に一度だけ

『父親に会ってみる?』

なんて聞かれたことがあった

「会わない」

理由なんて自分にも分からないけれど
即答した私にそれ以上何も
言わないし聞かなかった母

今になって思えば

会いたいならどんなに拒まれても
会いに来るはず・・・

それをご機嫌伺いをした上で
簡単に諦める程度のことだったのだ

私の中でそれ以上もそれ以下もない
全く興味の対象外の父親

だから熊にも
特段何の興味も無かった

けれど・・・

本当の父親と明らかに違うところ


それは・・・


真っ正面から向き合ってくれるところ


私と家族になりたいと想いをぶつけてくれるところ


母を笑顔にしてくれるところ


なにより


怖いけれど

あそこには皆んなの温かい気持ちがある

その中に入ってみたいと思った私は

案外、受け入れているのかもしれないと思った






まだ表向きは認めてないけどね