「ハァ」
嵐の去った部屋の中で
一人ため息を吐いた
嵐が消えた襖をボンヤリと眺めながら
思い出すのは
ソファで寝転んだ記憶のままの私が
何故かベッドで寝ていたこと
しかも新しく双子?の兄になった
亜樹さんとやらの腕の中で目覚め
悲鳴で駆けつけてくれた理樹さんは
亜樹さんを盛大に叱りつけて
引き摺るように連れ出してくれた
昨日まで一人っ子だったんだけど・・・
それなのに兄が二人?
しかも暫定双子?
『双子だから一緒に寝るだろ』
無理やり起こされた亜樹さんは
一緒に寝ていた理由をそう言った
双子→番?
は?
「は?」
母と二人暮しの生活で
脳内お喋りが通常だった生活が
言葉を発しないことには
何一つ始まらない生活へと
変わってしまった・・・
「ハァ」
2回目は盛大にため息を吐いた
いかん!このままでは
ため息の吐き過ぎで私の幸せが
逃げてしまうではないか?
いや
それよりも貞操の危機ではないか?
暫定双子の亜樹さんも
理樹さんに似た美形で
なんとも心臓に悪い
ん?
私の基準が理樹さんになってないか?
いや、この場合
そんなことどうでもいい
姿に多少の違いはあるものの
美形家族に違いはないようで
『双子だからやる』
亜樹さんが連れ出される前に
私の手に握らせたのは
同じクロスチャームの付いた
ネックレスだった