私が彷徨っていた庭は
どうやらこの屋敷の裏側だったようで

走った以上の距離を抱かれて移動した先に

勝手口が見えた


勝手口と認識したのは理樹さんがそう言ったからで

言われなければ
普通の民家の玄関程はある扉だった


近づくと


「お帰りなさいやし!」


大きな声と共に扉が開いた


「ヒッ」


声に驚いて理樹さんの首にしがみつく


と、なぜか?


「あ、すいやせん」


謝罪が聞こえた・・・


まさか理樹さんが出迎えてくれた
組員さんを睨んだからとは知らない私は

自動ドア?人感センサ?

頭の中をハテナが走り回っていた


その間に理樹さんは
ドンドン屋敷の中へ足を進めていて

気がつけば前方に一人
そして後方に二人

厳ついスーツが張り付いていて

途端に不安になる


「あ、あの・・・」


「ん?」


「挟まれて、ますが?」

理樹さんの肩越しに
後方をチラ見する


「あ?・・・あぁこいつらか」


「はい」


「気にすんな」


「はぁ」


えっと、気になるから聞きましたが・・・

気にすんな→聞くな
って解釈でいいのかな


頭の中で話を発展させているうちに
大きな引き戸の中へと入った


・・・いい香り


温泉の脱衣所に似ていて
木の香りが優しく香っている

ウットリしている間に
木のベンチに下された

そのまま私の前に跪いた理樹さんは

泥々の靴下を脱がせた


「あ、ちょ、ちょっと!」


不意打ちの攻撃に
頭から湯気が噴き出した